私たちは、本番に備え、全国から選ばれた「こども会議」のメンバーの中から福岡近郊の子供たちを集めて、こども実行委員会を作り、5月から数回に渡り話し合いを繰り返した。そうした中で、障害者施設を訪問して話を聞いたり、実際に車イスなどを体験した。さらに「目耳口」「手足体」「知的・老人」の三つのグルーブに分かれ、それぞれがどのような障害を持つのか、どうしたら「バリアフリー」が実現できるかを自分たちで勉強を重ねてきた。それをまとめたレポートに感想を加えたものをシンポジウムで発表していった。その内容は実際に障害者と接し、その苦労を肌で感じてきただけに、うわべだけでなく素直な意見が多かった。主なものは、
◇もっとハンデを持つ人たちとの交流の場を作りたい。
◇子供の日、敬老の日といったように「障害者」の日を作ってほしい。
◇盲導犬・介助犬のことをよく理解してもらえず、今回のシンポジウムでも会場使用申し込みを断られたこともあり、悔しかった。
◇点字の本はとても少なく、そして厚くて重く、値段も高いのに驚いた。
◇障害者は何もできないのではなく、もっと自分たちの可能性を認めてほしい、との思いが強い。それをできなくさせている社会の改善と周りの人々の心の協力を望んでいる−−−など。
 足に障害を持ち車イスで生活をしているゲストの宮本トキ子さんからも、「建物の中に入ったら、まず一階に身障者用トイレがあるかを探す。二、三階にあっても意味がない」と実体験をもとにした感想が述べられた。また、ステージ下、最前列に座っていた「こども会議」の他のメンバーにもマイクを向け、多くの意見を取り入れた。みんなが一様に感じたことは、物理的バリアの改善よりも、もっと大切なことは心のバリアを除かねばならないということだった。小さいときから、障害者と接する機会が少ないが故に生じる「どう接してよいかわからない」という戸惑いや、「彼らはなんにもできない」という勝手な思い込みを、まず私たちがなくす、意識の改革が最も必要であるということだ。
 また、話し合いの中に障害者ゲストの方々の感想を交えたトークも盛り込まれ、岡崎勝美さん・横田光春君の笑いを誘う明るさに子供たちの緊張もほぐれたようだった。中でも、生まれつきの盲目者である神田好紀先生の「色や景色について、未だに全く想像がつかない」という話には会場のお客様から驚きの声が漏れていた。赤は、トマト、ポスト、黄色は、バナナ、レモンというように、単に頭の中で認識しているだけで、実際は赤や黄色がどんなものか、見当もつかないそうだ。夕日などの景色については、アグネス・チャンさんからも、昔、ボランティアをしたときに「お布団の中の暖かさ」などと表現して教えたらいいといわれたことがあるとのアドバイスがあった。
 私たちが全く当たり前のこととしてとらえていたことが、目の見えない方々にとっては、こんなにも難しいことだったのか、と思い知らされた。知らないことの多さに気付かされながらも、障害を持つゲストの方々と、ごく自然な形で一体化してシンポジウムは進んでいった。
 最後に、こども会議メンバー全員がステージに並び、長い「こども宣言」を一言一言かみ締めながら、連携プレーで読み上げた。司会も全て子供たち、という中、ゲストやプロのアナウンサーの方々の陰からの温かいまなざしに後押しされて、無事、一時間半のシンポジウムは幕を閉じた。